何げに安倍さんを評価してみたり

ということで本日のお題なわけですが、正直申し上げて、安倍さんの一連の発言は支離滅裂なところがありまして、
そりゃ、債券市場はあきれて反応しませんよなあ、というのが第一印象でございます。


正直申し上げまして、債券市場の参加者というのは、要するに金貸しなわけでして、
証文に明記されていることすら、まともには信じない意地悪でえげつない、一歩間違えば
やくざな商売な訳でして、安倍さんに限らず、えらいさんの発言は話半分で聞いておくのが正しいあり方なので
仕方ないんですけどね(汗)


まあ、これで終わっても何なので、いくつかの論点を抜き出しておきましょう。



正直、CPIが1%どころかゼロにすら達していない状況下において、目標を引き上げることに意味がそうあるとは思えないのが
私の取る立場ですね。例えてみれば偏差値30の受験生が「まずは偏差値50を目指す」と張り紙するのと
「絶対東大合格」と張り紙するのと、どっちがより成績が上がるか、って考えてみるといい訳でして。


正直、私が家庭教師だったら「まずは平均取ってこい!」と言います。
人間、まずはイメージしやすいところに目標を置いてやる方がいいはずなんですよ。


そりゃ、2%が狙えるようになれば、それに越したことがないのはその通りかもしれません。
でもこの10年、いや20年の単位で見ても2%という数字はなかなか生じていないのが現実なので
まずは身近な数字を達成してから、そうして日銀への信任を増してから進めるべきじゃないのかな、
と思います。



  • 何で正面切って「国債を引き受けさせる」って言わないの?

正直、個人的に安倍さんの発言で一番評価していたのは何を隠そう「国債引き受け」だったりします。
なのでその後で「いや別にオペでいいんだ」とか何とか修正しているのを見て、思いっきりがっかりしています。


そりゃね、「建設国債を日銀に買わせる」と言ったら、普通の記者さんは「日銀に引き受けさせる」んだな、と思いますよ。
だって「建設国債」「赤字国債」などの発行っていうのは帳簿上の話であって、
実際の債券市場で発行される国債に「建設国債」か「赤字国債」か区別するラベルはついていませんからね。
だから証券会社の店頭で「建設国債ください」とか言ってみても相手にしてもらえませんよ。
ついこの間、国会議員になったばかりの方ならともかく、もう何年も議員を務め、総理大臣まで経験しているんですから
この程度のことは知っていて当然、知らなかったではすまないですよ。


「や、建設国債発行分だけ国債をオペで買ってくれればいいんだ」とか言い出すかもしれませんが、
それこそ墓穴を掘っています。
例えば今年度の建設国債発行額は6兆円程度ですが、日銀は既にその何倍もの国債を買ってます(笑)


というか「国債発行を増やすからその分だけ国債購入量を増やしてね」なんて財政マネタイズみたいなことを
いうつもりであるなら、そういう大事なことは日銀に判断させるのではなく、政治家自らの判断で行うべきだし、
その記録を残しておくべきです。
つべこべいわず「20兆円の財政拡大するからとっとと財政マネタイズしろ」と言って
正面から財政法改正すればいい。国権の最高機関たる国会できちんと議決を取ればいい。


確かに財政マネタイズは過去の歴史から「一種の禁忌」として、多くの国で禁じられてきた話です。
当然、日本でも禁じられている行為です。
だから、国を救うため、その部分を突破しなければならない、という判断は、いくら専門家だとしても
公的機関として法を遵守するべき立場である日銀ではなく、立法府であり国権の最高機関たる国会の役目であると
私は信じるのであります。