世界各国の金融政策の類似点とか相違点とか
まとめてみようとか思っていたけど、メシの種になりそうな気もしたのでしばらく封印してたネタ。
まあ、ある程度語られるようになったので、「そろそろいいか」と簡単にお蔵出ししてみる。
とりあえず大まかに捉えてみると、類似点は以下の2つ。
- 原則として「ゼロ金利」は採用しない。
ま、理論的背景としては、クルーグマンやイエレンが述べていた「ゼロ金利下におけるベースマネー拡大が金融緩和効果を(あまり)持たない」という説でも、白川総裁が引き合いに出した「市場機能論」でもいいんだけど、結局のところ「ゼロ金利」自体に積極的な意味を見いだす中央銀行はない、ということだろう。
- 「金融危機」には「信用緩和」で対応する。
ということで各国中央銀行が取っている作戦は、主に信用リスクのある資産を積極的に購入して、市場を無理やり動かしていくこと。中央銀行のバランスシートを拡大させて市場機能を一部取り込むような動きをするのだ。
#とはいえ、各国は中央銀行のバランスシートの規模自体にはさほど重視していないようだ。
このように類似点は意外と単純明快だったりする(笑)
でもこれって山一ショック時の日銀以来、ある意味伝統的な「非伝統的金融政策」だったりする(笑)
ちなみにこの分野では我が日銀は間違いなく先進国であり、白川総裁は各国中央銀行の理論的支柱だったりするのかもしれない。
#少なくともこの手の理論的な説明やテクニカルタームの大半は日銀の説明が一番洗練されている(苦笑)
とはいえ相違点もある訳でして。
- 掟破りの為替政策を持ち出す国もあったりする。「時間軸」を持ち出すところもあったっけ。
デフレに一番「効く」のは為替だったりするしね。正直カナダの時間軸は効いているのかあまりよく分からないけど。
- ベースマネー増大がインフレに直接効くかどうかはまちまちみたい。
BOEはもろに「ベースマネーを増大させてインフレにする」と言ってるけど、FRBは(少なくとも公式には)「ベースマネー増大によりインフレにする」とは言っていない。
- 国債を購入する狙いもまちまち。
BOEはあくまでインフレにするためだけど日銀は「金融調節のため」であって技術的な要因にとどめている。FRBは(公式には)「民間クレジット市場のために」国債購入するんだったよな、確か。
- 中央銀行自身の資本増強策もまちまち。
とはいえ大抵の国はリスク資産購入の際に政府に一定の関与をさせているとか、一部資金を肩代わりさせるとかしているみたい。日銀のように政府への納入金を減額させて資本充当に使うところもあり。
相違点の方は、数えてみたら他にもあるかもしれないけど、とりあえず。