それ以前の問題として

この夏、物価連動国債に関しては消費者物価指数の改訂に伴う混乱から手を引いたひとも多かっただろうなあ、と思う。
というのもこの夏の物価連動国債にはトラブルが2つ起こったからだ。


一つ目は連動係数の算出方法の変更問題だ。物価連動国債は発行時と利払い時のCPIの比を掛けて実際の利払い額や償還額を決定する仕組みであるため、CPIが2000年基準から2005年基準に改訂されると、なんとかしてそれらの段差を調整して接続する必要が生じます。
これを財務省こちらの下の方にある「CPIの基準改定(平成12年基準から平成17年基準へ )」という項目に従って調整しているのですが、実は発行時には別の方法(総務省接続指数を分母に使うことにしていた)をとることにしていました。
でも財務省は8月に入ってから急に現行の方法に変えたのです。まあ、基本的に物価連動国債保有者に取って有利なように改訂されていましたので、保有者からは特段のクレームは出ませんでしたが、ヘッジファンド等で8月末のCPI改訂を見越して物価連動国債のショートポジションを取っていたひとには頭の痛かったことでしょう。
分かりにくい説明ですが、例えていうと
「5年に一回さいころを取り替える約束でばくちを打っていた。さいころの交換方法も事前に申し合わせていたんだけど、実際にさいころを替えようとすると『こっちのやり方にして』とルール変更があった」というものです。こういうのは契約違反と言われても仕方のない性質の物で俺たち投資家は嫌う質のものです。


もうひとつはもちろんCPIの基準自身です。これも事前の予想を大きく下回ってしまいました。詳細を分析してみると「これでいいのかなー」と思う点も一部見られたのですが、特にそれは申しますまい。
困ってしまったのは改定前と改定後でボラティリティが変わったように見受けられたことです。分かりやすく言うと「歪んださいころを替えてみたら新しいさいころは全く別のさいころで転がり方が大きく変わった」って感じでしょうか。こっちは仕事でばくち打ちしているからさいころが歪んでいようと気にしないが、新しいさいころの転がり方まで予想させられるのはちょっとしんどいものです。


別にマクロ経済の動向や個別の債券需給に市況が左右されるのはかまわないのですが、基本的なインフラの部分でガタガタぐらつかれてしまうのはたまらないのです。これでは安心して投資を続けることができません。


総務省といえば、毎月毎月「サンプルの歪みがどうのこうの」という言葉で解説される家計調査という酷い統計もあります。
#一応フォローしておくと文化人類学の資料としては世界でも一線級だと聞きます。。。
23日の経済教室の話は総務省に一番読んでほしい内容であるなあ、と今更ながら思うのです。