物価連動国債ではなく消費税連動国債なのだ

えー、こんな有名サイトにつっこんでいいのかどうか分かりませんが、物価連動国債のはなしが出ていたので、こういった債券を実際に売ったり買ったりしているばくち打ちの立場からレス。


現実に取引している実務家の立場から言わせてもらうと、ブレークイーブンインフレ率(以下BEIと略します)を「期待インフレ率」と考えながら取引していることはないですね。むしろ「消費税アップを予想する債券」だと思っています。
というのも消費者物価指数の伸び率よりも消費税率の上昇幅の方が大きいと予想されるからですね。
例えば、ある意味悪名高い日銀の「中長期的な物価安定の理解」の上限と見てもせいぜい年平均2%。(実際にはもっともっと低いでしょう。)
でも今後10年間で消費税率の上昇幅は3-5%はあるのではないでしょうか。もうお分かりでしょう、消費税議論の行方をにらみながらトレーディングしているのです。
そうやって考えながら今年のBEIの推移を見ていくとBEIの上昇期は日銀の政策もそうなのですが、同時に消費税議論の高まった時期とも重なってくるのです。




(補足)
なお、一般的に日本国発行の物価連動国債のトレーディング手法は大きく2つあります。
第一は国際的なBEIトレーディング。全世界の財市場がひとつに結ばれているならば、世界的な物価動向は同一の方向性を示すはずです。
よって欧米の物価連動国債のBEIが開いてくれば日本でも開くと考える投資手法です。


もうひとつは流動性の低さに着目したコモディティとして取引する手法。特に日本における物価連動国債は固定債より極端に発行量が少ないため、目先の需給環境に大きく依存してしまいます。この性質を利用して一時的な需給の不均衡を作り出して無理矢理稼ぐ荒っぽい方法ですね。


実際問題、この債券は目先の需給に大きく振らされてしまいます。
期待インフレ率とか消費税の分析は当然しますけど、それ以上に需給に気を使う商品ですね。