土地のおはなし。

お金について考えたこと」さんところで話題になってたバブル期の土地政策株式市場の値幅制限のおはなしに反応。


確か、バブル当時の地価算出法って周辺地域の取引事例から算出する方法が一般的だったはずなんですよね。まぁ、このやり方は今でもある程度は正当なものではあるのですが。
だって必ずしもその土地のキャッシュフローを正確に出せるわけではないし、周辺の需給環境は価格に大きく影響を与えるだろうし。


もちろんこの「取引事例比較法」の欠点は、地価が一旦実勢を大きく乖離したときにそれを修正するメカニズムを内包していない点です。ですから80年代後半のバブル期には割高な状態が続いてしまう状況が正当化されかねないわけです。


まぁ、このように市場が暴走するシーンはしばしば生じるわけですが、金融市場、特に取引所が整備されている場合には大抵値幅制限を設けて対応しています。
そうすることによって「一時的な取引量の増大に取引所のシステム自体が対応しきれずパンクしてしまう」ケースを防ぎ「投資家に冷静な対応を促しスムーズな価格形成を行わせる」ことを狙っているんですね。


前者は非常に分かりやすいです。1分当たり1000件しかさばけないシステムに10000件も注文が来てしまったらどうしようもありません。ですから一旦市場を止めてから注文を聞いてまとめて処理しよう、というものです。
後者は主に激変緩和措置というものです。大抵市場が暴走しているときは参加者も熱くなっていますので、一旦市場を閉じて参加者に冷静になってもらおうというものです。最近では2001年の同時多発テロ事件の際に値幅制限を半分にした事例が印象的です。


87年当時は私も高校生でしたので、あんまりこの土地政策のことは覚えていないのですが、経済理論的に考えて「合理的期待形成がなされていない参加者がかなりの影響力を持つ市場では供給量を増加させることが価格を上昇させることもありうる」、つまり高値で取引された事例を無批判で受け入れてしまう参加者が多い市場においては、供給量を増大させて高値で取引させてしまうと更なる高値を追いかねない(そしてそれはいつの日か「バブル崩壊」という結果を持って迎えられる)という考え方として認識すれば、「一理はある」と思います。


もっとも、それが結果的に正しい政策でなかったのはいうまでもないことですが。バブル対策として一番確実なのは「レバレッジを効かせなくすること」、つまりマネーサプライを減少させることなので、もっと早くに金融引き締めすべきだったんですよね。
#かといって急にブレーキを踏むと90年代の日本みたいになるのですが。。。


市場って、別に経済学でいうところの「合理的期待形成」で価格が決定されるとは限らないので、バブルが発生するシーンは多々あるのですが、値幅制限はそんな「市場の失敗」が発生したときに行われる「介入」の一種としてその有用性をそれなりに認められていると思っておいてください。
#もちろんITバブルのときのように限界はあるんですけどね。