「学童保育」と「世代内不均衡」

木村さんのところで「学童クラブ」の話を読んで懐かしさを憶えた。
ちなみに「学童クラブ」とは放課後の小学生を預かってくれる保育園の延長線上のようなものである(乱暴な説明だが)。
地方により「学童保育」とか呼ばれることもあります。

ちなみに俺もこの「学童クラブ」で育ちました。
妹なんかゼロ歳児から保育園で育てられました。
当時のうちんちはとても貧乏で共働きでも生活は苦しかったからです。

もう20年以上も昔のことになりますが、当時から「学童クラブ」の扱いはあいまいで、支援は弱々しいものでした。
母の話によると、当時は「女性がフルタイムで働く」こと自体に偏見があったそうで、地域の理解も乏しいものだったようです。紹介されたメールを読みながら「当時とあんまり変わっていないんだなぁ」と思ってしまいました。

多分、今も人々の認識はあまり変わっていないのでしょう。年金のモデル世帯がいまだに専業主婦であるように、少子化対策が叫ばれていながら働く女性への支援は乏しいままで、メールによるとさらに厳しい状況の追い込まれているのでしょう。今回の選挙で少子化対策を叫んだ政治家はこの問題にこそ真剣に取り組んでもらいたいと思います。福祉手当もいいですが、安心して子供を預けられる環境整備にこそ力を注いで欲しいと思います。



そして年金を語るとき、忘れて欲しくないのが「専業主婦」の扱いである。上記のように「学童クラブ」に子供を預けて働いている女性の多くは第1号保険者であるだろう。でも、彼女たちは家事も子育てもきちんとこなしているのである。

それなのに彼女たちには配偶者控除もなく、夫と同様に「2人分」の年金を払っている。つまり共働き夫婦は「4人分」の年金を払い込んでいるのである。現在払い込んでいる若い世代に還ってくる年金支給額は支払額の半分かも知れないのに。

これは「世代内不均衡」ではないのだろうか。一方で専業主婦は年金を払わなくても一定額を保証され、もう一方で子供を「学童クラブ」に預けて必死で働いても「2人分」取られている現実は。



俺は「世代間不均衡」は既にあきらめている。現在の年金制度が実質的に賦課方式になったとき、「世代間不均衡」の発生は必然であったし、親(の世代)を養うために必要な資金はやっぱりちゃんと出してやりたいからだ。
でも「制度内不均衡」は違う。「専業主婦」のような制度的な不均衡問題、共済年金をはじめとする制度間の問題、未納・未払いの問題、こういうことはきちんと対応すべきである。


年金問題を語るとき、俺は何度でも「制度内不均衡」について述べたいと思う。
大学で年金問題を学んだとき、脳裏に浮かんだのは身を粉にして働いてくれた母の姿だった。ここに俺の原点があるからだ。