日本の債券市場がなかなか動かない理由

いやまあ、まじめに書くといろいろ考察できるでしょうし、
その気になれば論文書くひとだっていそうなものですが。
もちろん、うちんちは思いっきりひねくれて考えてみます。
#つか、さっきtweetした内容が自分的にしっくり来たのでこっちに転記してみる(ぉ




「鶏が先か、卵が先か」ということはさておいて、やっぱ今の相場が動かない理由の大半は
もう金利が低すぎることにあるような気がしています。
どういうことかというと、金利が低く、十分にイールドカーブがつぶれてしまったがために
短期運用の世界のひとたちが長期金利の世界を制覇してしまったということなんだと思います。




以前、ゼロ金利の前はO/Nは0.5%とかあったわけです。
#もちろんそれ以上あった時代も遠い昔にはありました。。。


でも、今、日本で0.5%の利回りを稼ごうと思ったら、何年ゾーンを買いにいかないといけないか。
残存6年を超えてくる訳です。
ということはですねえ、むちゃくちゃ乱暴なことを言いますと
「昔金先を買っていたひとは、今は債先を買わないといけない」わけですよ。
#利回りだけを考えたらね。




そんなわけで、昔短期の世界では3ヶ月ものまでが普通の世界で、
そこから先にはなかなか出て行かなかったのですが、今はそんなことも言っておれず、
2年どころか5年にも買いの手を伸ばしてます。
でもってちょっと手を伸ばしたら10年ゾーンなんかあっという間です。
下手すりゃトレーディング玉は20年や30年カレントだったりしますよね。


ま、そんなこんなで、かつては短期金融市場で回っていたおカネは債券市場に流れ込むことになりました。




一方、資金調達の方はどうでしょう。
かつては積みの進捗にあわせてきっちりあわせていくのが職人芸の世界、
「ブタ積み」なんて恥の世界だったのは今は昔、今じゃ「積み上」「積み下」すら
分かる人も少なくなり、当座にジャンジャン積んでよいどころか、
その気になって借りようと思ったらそれこそ実質ゼロ金利でいくらでも借りられる世の中になりました。
#それ以前に預金でじゃぶじゃぶ状態ですが。。。


バクチのテラ銭には困らないわけです。
#カネ余りというヤツですな。。。




こうして、短期市場のおカネが債券市場に流れ込んできたわけですが、
短期のおカネの単位は債券市場と全く違うわけでして。。。
#例えば短期の世界で「1本」と言えば「100億円」ですからね。


昨日の為替介入の金額は推定8兆円とか言われているようですが
今日の10年入札の金額は2.2兆円に過ぎません。
ついでに言えば、短期市場における日銀オペは毎日のように兆円単位で入ってたりしてます。




そういう世界の人たちが債券市場で暴れるわけです。
となると普通なら「乱高下する?」と思うかもしれませんが、彼らも自分自身の図体の大きさを
知っています。下手すりゃ自分自身の首を絞めてしまうわけですし。
#プレイヤーの数も減ってますしね。




となると、大きくデルタを傾けるような真似は避けたいわけです。
ポジションを崩して利益を確定させようとでもしたら、自分のポジションを外し切る前に
自分も波に飲み込まれて大損抱えてしまいますしね。


それにプレイヤーの数が減るとマークも厳しくなるわ、いざという時のポジションの受け手がいなくなるわ、
ということで、ますます手足が縛られていくわけです。
#少ない人数でババ抜きやっているケースを考えてもらえれば分かりやすいかと。




となると、いくつかの銘柄でレポを締め上げたりはするものの、相場を大崩しするような真似はし難い、
というわけなのです。
#もっとも「どうしても仕方なくなった」ときには昨年秋のように動いたりするもんですけど
#それでもあの程度なのですよ。。。




以上、現在の短期市場の「中の人」ではないので、推測もかなり入っていますが、
それなりに外してないと思います(多分)