いいとこ取り

ということで、先週の話題は何といってもバーナンキのオペレーション・ツイストでしょう。
個人的には「なんだかなあ」と思ってしまいますがね。




tweetでも書きましたが、ツイストオペの緩和効果というのは、「長期国債購入による緩和」と
「短期ゾーンの国債売却による引き締め」の差分で求まるわけです。
でもって、FRBに言わせると、「時間軸政策を別途取っているので短期ゾーンの金利
跳ね上がらないからOK」ということだそうですが。。。


でも、そんなにうまくいくのでしょうか。
単純に短期ゾーンの金利(例えば残存2年)がFFレートの将来予測値と一致しているとしましょう。
で、そこにツイストオペとして大量の国債売却があったら短期ゾーンの金利はどうなるでしょうか。


そもそも、投資家は短期ゾーンが極限まで寝ているので、そこに資金をおこうとは思いません。
実際問題、この辺りのことは日銀は時間軸政策を明確に打ち出していた2000年代半ば、
国債買い入れオペの応札対象が短期ゾーンに集中していたことからも分かります。


ということで、ツイストオペにより短期ゾーンの国債売却が行われれば、
このゾーンの金利は上昇せざるを得ません。
でも、このゾーンの金利上昇による引き締め効果は、長期ゾーンの金利低下による緩和効果よりも
小さいのでしょうか?
ここから先は定量的な分析をどうやっていくかにもよりますが、
普通に考えれば、同じ金利変動幅ならば短期ゾーンの引き締めの方が影響が大きくなるような気がします。
だって長期でお金を借りる人よりも短期でお金を借りる人の方が多いでしょうからね。
#住宅ローンは長期だ、というひともいると思うけど、企業間金融の方がその何倍も多いしね。


それにね、よくよく考えてみれば、わざわざ短期ゾーンの国債を売却するなんて
引き締め効果のあるオペを打つ必然性は本来全くないわけでしてね。
だって中央銀行のオペなんだから、それこそベースマネー増やせばいいんでね(汗)




結局のところ、ベースマネーを増加させるのは、共和党や海外からのQE2に対する批判に
耐えられなかった、というだけでしょう。
FOMCでも反対票出てましたしね。


そんな悠長なこといってて景気回復にもっていけるのか、正直疑問です。
まあ、金融政策の効果がない状況でも、いつかは景気は回復に向かうでしょうから、
それまでの間、「何かやった」というアリバイ作りにはちょうどいいとは思いますけど。




今回の緩和は、政治家・バーナンキが各方面に気を使った、八方美人な政策の結果、と
いえるのではないかと思います。
逆にいえば、それだけバーナンキは追い込まれた、ということでしょう。


このような、経済理論的には疑問符が付くものの、積極果敢な緩和姿勢を見せて
アナウンス効果を狙う、という立ち位置は、かつての福井日銀を彷彿させます。
あのときも、なんでもありな状況でした。


FRBも経済理論や過去の政策との整合性は事実上放棄してきましたので、
今後は状況次第でなんでもありになってくると思います。