確信犯からは免れない

ということで、今日の話題はこの数週間、中東動乱の遠因として語られている
商品価格の高騰について。
ネット上では「商品価格の上昇は新興国の需要増が要因で、
先進国の金融緩和の結果ではない」みたいな話が大勢です。




まあ、私自身、その結論については認めるんですけど、なんか違和感を
持ってました。
それがなんなのか、ずっと疑問に思っていたのですが、この週末、
久々に「沈黙の艦隊」(かわぐちかいじ)を読んでたら、ピンと
思いつきました。




沈黙の艦隊」の後半は海江田よりもベネットの方が主人公みたいで
かっこいいんですよね。俺的にはそう思ってます。
その中でベネットが吐く名セリフの一つにこんなのがあるんですよ。

「権力の座にある者は確信犯からまぬがれえないのだ!」
(VOYAGE207「春の祭典III」より)



このセリフ、見開きで「ドーン!」と出ているのですが、
これを読んで私の中でもやもや感が吹っ飛びました。




今、新興国を中心に、積極的な金融緩和を続けている先進国、
特にQE2にまで踏み込んだ米FRBへの批判が高まっています。
正直、個人的にはQE2は緩和効果などない「なんちゃって緩和」だと
思っているので、この批判は誤っていると思うのですが
批判されている当事者からみた時、この批判は受け止めざるを
えないと思うのです。




世界の4分の1を占める大国が超金融緩和している以上、
世界経済全体がインフレ方向に進むことは否定出来ない、と
言いたいわけです。
もちろん「緩和効果なんかない」ということも出来ますが
それは今自らとっている政策が「効果ない」と言っていることに
つながるので、それは言えない。
とすれば、大国は確信犯的に新興国を犠牲している、と
いわれても仕方ないと思うのです。




その上で「だからどうした」と開き直らざるをえない、
それがFRB的には正しい気がします。
ま、先に書いたように、私自身はQE2はインフレにしていない
「無駄な政策」だと思っているので、新興国側からの批判には
「そんなことない」と大手を振って言えるんですがね。




要はいいとこどりしたらダメ、と言いたいわけです。