最近不思議に思うこと

そうそう、15日はバーナンキ議長の講演がありましたなあ。
個人的には、どうせ何を言っても「量的緩和か?」という見出しが踊る(実際そうなった)だけなので
全くもってスルーなのですが。
#解説は別のところで誰かやってるでしょう。




個人的には、この金融緩和を巡る日米両国の温度差が興味深い。


日本の場合は「金融緩和しろ!」と脅されて、海外出張すら途中で切り上げさせられて、
無理やり臨時会合開いて、しぶしぶ出してきた案を「これじゃ全然足りない!!!」とか
みんなから怒られて、最後には市場の予想以上の満額回答を出してきたにもかかわらず、
3日も立たないうちに「これじゃ全然ダメ!!!」とか叩かれる。。。


しかし、米国の場合は違うんですな。
そもそも彼らは数カ月前までは「いつ出口に向かうべきか」「出口政策はどうやるべきか」
議論してたはずが、いつの間にか「追加緩和だ!」ってなってしまった。
これは彼らの経済見通しの明らかな誤りにもかかわらず、誰もそのことを責めない。
それどころか今回の量的緩和の話でも、確か8月終わりには「量的緩和したい」でな感じで
期待が膨らんできたんですけど、それから1ヶ月半経っても別に彼らは動いていない。
その間にCPIも雇用統計も悪くなっているんだけどね。
それでもなお「俺達のバーナンキは11月に量的緩和策を打ってくれる!!」と喜んでいるんですなあ。
#一応クルーグマンはこの輪から外しておこう。。。




いやあ、ここまで来ると「※ただしイケメンに限る」の世界だよなあ(苦笑)
ただ、もう一つ指摘しておきたい点がある。
ポジショントークとして考えたときには、極めて合理的な判断でもあるんですよ。




日銀は、世界の主要中銀の中で一番多く金融政策決定会合を開催し、一番多くトップの会見を開き、
一番多く議会で説明をこなす中銀である。
その中で培われた理論構築力は、他の中銀の追随を許さないところがある。
だから、単に「緩和してほしいなあ」とか言われたところで、「今の政策が最適である」理由を
いっぱい突きつけられておしまいである。


でも、哀しいかな、日銀は世界で一番、政治圧力に弱い中銀でもあるんだよね(汗)
だからこそ、「日銀法」は世界でも有数の独立性を与えているんだけど、そんなもの、
紙切れに過ぎないことは(学者さんを除けば)みんな分かっているし、歴史が証明している。
だから言うことを聞かせたかったら、脅しをかけるのが最善だ。
#例えば介入直後の連日の緩和観測記事のように。




でも米国の場合は様相が異なる。FRBは強い中銀だ。まあ、リーマンショック後、
少し弱くなったと思うが、今は基本的には政治サイドからの介入はあまり受けなくて済む。
#批判なら当然あるし、FRB自身も気にはするだろうけど、今のところそのことが
#金融政策を大きく揺るがすような事態になっているようには全く見えない。


ここで、「金融緩和してほしい」って、どういうことだろうと考えてみる。
これって、簡単にいえば「中銀からお金借りたいんです」ってことなんだよね。
量的緩和は債券買取策であってお金を借りることではない、ということはできるし、それは正しいけど、
でも中銀に「金持って来い!」って言っていることに違いはない。


でもね。
お金を借りたい時、あなたは貸主にどんな態度を取りますか?
そりゃ、頭は下げるでしょうし、お世辞の一つも言いませんか??
間違っても、貸主の心象を悪くするようなことは言いたくないでしょう。




そうなんです、金融緩和ってそういうことなんです。
今、バーナンキさんにへそを曲げられると、債券ロングな皆様方はしんどくなるんです。
そりゃ、全力でヨイショしますって(汗)


でもこれが普通なんですよ。緩和して欲しかったらヨイショする。
そもそも金融当局とはケンカしない。
だから今更量的緩和に追い込まれるFRBも、毎回インフレ目標守れなくて始末書書いてるBOEも、
動きがのっそりしているECBも、そんなに批判されないものなのですが、
どうやら日銀はイジメられっ子な非モテヲタなので、同じようなことをしていても
叩かれてしまうのです。
#イジメられっ子の方に原因があるんだ、とかいうイジメっ子側の理屈は取りあえず置いといて。。。




以上、「最近不思議に思うこと」というより、日米中銀を「非モテヲタ」と「イケメン」で読み解く、でした(汗)
#明らかにタイトル詐称だが、面倒なのでこのままでいく(自爆)