大政奉還

ということで公表文はこちらなのですが、要旨は3点。



まあ、これはどうでもいいっちゃ、どうでもいい。
単純に0.1%からの下振れを許容して、FRBみたいな言い回しに変えただけ。
当座預金への付利金利は0.1%のままなので、多少は下に振れたとしてもゼロまで落ちることはないでしょう。



  • 時間軸の導入

正直これには驚いた。

「中長期的な物価安定の理解」に基づき、物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで、実質ゼロ金利政策を継続していく。

これって素直に読んだら、CPIコアが+1%に達するまで実質ゼロ金利を続けるということだからね。
こんな数字、商品価格の高騰で持ち上がった一時期を除けば、10年以上、経験したことのない世界です。
下手すりゃ永遠に上げられませんて。。。


個人的には「そんなこと出来るの?」とは思うけど、時間軸が超強化されたことでもあるし、
一応、前向きに評価しておきます。



  • 資産買入等の基金の創設

これが一番の問題。
確かに上記にあるような野心的な目標を達成するためには、普通のことをやってたんでは追いつかないのは事実。




よく見てみれば、国債社債の購入年限は2年以内にしてみたり、5兆円を1年掛けて買うように
セッティングしてみたり、いろいろ抵抗しているところも見える。
現場は彼らなりに頑張ったんだろう。




でもさ、このメニュー、単に政治屋さんのいわれるままに書いただけでしょ。
国庫短期証券を載せてみたり、長期国債の購入を「日銀券ルール」の枠外に無理やり追いやってみたりしてる、
というところからみて、結局の所は、単純に外圧に屈しただけでしょ。




しかも2番目の「時間軸」と組み合わせたとき、CPIが+1%に戻らなければ、すぐに「5兆円の枠を増額しろ」と
言われてしまうのは分かりきってる。
どう考えてみても、この枠、あっという間に膨れ上がってしまうのは見えている。




しかも、このバランスシート拡大に対し、政府保証はないんでしょ。
かつてリーマンショックの時、FRBが資産買取を行ったときは米財務省は政府保証を行ったけど
日銀の買取りに対して日本の財務省は何もしなかった。
その時と同様、今回の買取基金に対して財務省は出資しないでしょ。
損が出たらそれは「日銀のせい」ということなんだよ。




ということはね、事実上、日銀は自らの独立性を失った、ということだよ。
もちろん、このことを「政府の横暴」というひとも「日銀の自業自得」というひともいると思う。
でも結論はひとつ。「日本の中央銀行は政府に屈し従属した」ということ。
この意味は重いと思う。