非不胎化なんかに意味はない(一応)

そういや、この金曜に出た加藤出さんのレポートはよかったですね。
短期金融市場に住んでおられる方に取っては常識のような気もしますけど、
最近はその常識をよく知らない方も多いですからね。




ということで今日のお題は「非不胎化介入は理論的に『効く』のか」ですが、
個人的には「まあ、アナウンスメント効果ぐらい期待したいよね」って感じです。




理由は至極簡単でして、そもそも、みんな中央銀行の日々のバランスシート
のボラなんか見てないでしょ、ってことなんですけどね。
例えば2003-04年の介入で一日あたりの介入量が一番多かったのは
確か1兆円ちょっとだったかのように記憶していますが、今も昔も
短期市場のオペって兆円単位でバンバン動くものなのです。
ということは、為替市場での介入量なんて、短期金融市場に取っては
単なる誤差にしかならないということ。
普段のオペの増減に為替市場が一喜一憂していないことから考えても
そのことがよく分かります。




だったら、日銀が介入量をはるかに超える額のバランスシート拡大をしたら
どうでしょう。それなら確かに効きそうです。




・・・と言いたいところなのですが、そもそも中銀のバランスシートの増減と
為替レートってどこまで連動しているのか、よく分からないんですよ。
逆説的ですが、スイスも対ユーロでかなりバランスシートを拡大させているし
介入も行ったりしてますけど、なかなか成果につながらないのは御存知の通りですし
今回の日米関係に限ってみても、今年以降の両国中銀のバランスシートの変動は
それ以前よりも小さかったはずなのに、効いてきたのは今年からなのですよ。




そもそも、以前イエレンやクルーグマンも述べていたように、そして日本で散々
経験してきたように、ゼロ金利下のバランスシート拡大が金融緩和としては
効かない、というのは明らかなので、今の状況下、バランスシート拡大策が
素直に聞くとは考えにくい訳なのです。




ま、それはそれとして、世の中には誤解してくれるひとも一杯いるし、
姿勢を見せることだけで、自らの投資行動を変えてくれる奇特な方も
多いので、やって損がないならやっといたら、という立場ではあります。