オペ終了をどう読むか

ということで今回の日銀の決定をどう読みましょうかねえ。
とりあえずポイントは3点あると思う。



  • カードの切り方はうまかった

G7で社債・CPオペを切り出して、その後支援オペという札を切っておいて、最終的には支援オペを1回だけ延長で落とす。
文句のつけようもないほどうまいですね。
まず社債・CPオペの話をして周りの反応をみるとともに「今回は『金融危機対策』からの出口なんですよー」と印象づける。
次に「企業金融支援特別オぺが本丸なんですよ」と切り札を切って、流れを決定づける。
もちろん本丸まで切り込むと反発も大きいことは承知の上で。
そうしておいて「じゃ、本丸は来年3月までね」と着地させてみせる。
これなら反対派も抵抗しにくい。だって来年に入って金融危機が再発しなければ「十分にアナウンスしたよね」といって
予定通り終了でいいし、万一再発したら「じゃ、再開しますね」の一言で済む。
しかも来年3月に期限を設定することで企業金融支援特別オぺの残高をスムーズに落とすことすら可能だ。
#技術的には共通担保オペへ乗り換えを促したらいいんだよね。


偶然の産物のような気がしないでもないが、日銀執行部としては満足な結果だろう。



  • 弱い時間軸効果を打ち出すことに成功した

まあ、この辺はレトリックの問題なんですけど、今回「当面、現在の低金利水準を維持するとともに、」と、さらっとした形で
この先の低金利政策を予告する文章を差し込んだことは、日銀執行部的には大きそうです。
うまく使えば、時間軸設定のとっかかりに出来ますしね。
しかも「当面」なので、利上げしたくなったらすぐに外すことさえ出来てしまう優れもの。
さらにいえば、どうせ当分利上げできない状況なのは分かりきっているので、ここでこのカードを切ったところで
痛くも痒くもない。


まあ、実に使い勝手のいいカードを切ってきたものです。
実際問題、「低金利政策からの出口政策ではない」というアピールでもありますし、ここで切っておく必要なカードであったと思います。



  • 何げにこれって国際協調行動だよね

このタイミングで「金融危機からの出口政策」という布石を打ってきたことの背景には「国際協調」という意味があるような気がします。
BOEも資産買い入れプログラムを来月までで終了の予定だし、FRB国債買い切りを10月末で終了。
ECBはまだアナウンスしてないけど、あそこはもともとそんなに入り込んでない。


多分これは偶然じゃない。明らかに国際協調行動だ。
かつて何度か「各国の中央銀行は協調行動している」といった趣旨のことを書いたが、そのことは今も生きているとみた方が良い。