ベースマネー神話の崩壊

最近ちょっと考えていることなのだが、これから数年間の中央銀行の動きは「ベースマネーというものを重視しなくなる」動きとなるような気がする。
#そうなると金融政策論の教科書は書きかわることになりそうだ。




まあ、日本じゃ十年前に経験したことだけど、金融危機から1年経って、経済情勢も回復してくると、
「危機は去った」ということで中央銀行のバランスシートは縮小させていくことになる。
そりゃまあ、臨時的措置が終了するのは当然であろう。


だからといって、金融危機に発したデフレ懸念は消えた訳じゃない。むしろこれからが本番なのだ。
しかし金融危機は去ったのだから、中央銀行のバランスシートは縮小させなければならない。
でも「デフレ懸念のなかでバランスシートを縮小させる」って、教科書的におかしくない?


そもそもだ。あれだけバランスシートを拡大させ、ベースマネーでじゃぶじゃぶにしたのに、
何で今になっても「デフレ懸念」なの?




これらの問いを解く答えとして有力になってくるのが「ベースマネーってデフレと関係ないんじゃない?」ってこと。
短期金利がゼロに近い状況ならば、とかいくつかの前提条件が入ってくるでしょうが、ベースマネーを優先させる考え方は
影が薄くなってくると思います。




まあ既に、今春にFRB国債を購入したときの説明や、クルーグマンの主張のなかに、その傾向は観察されている訳でありますが。