財政再建とデフレ脱却への一番の特効薬

ふと気がついた。
財政再建を果たしつつデフレを脱却するための一番の方策は物価連動国債を個人向けに発行することではないだろうか、と。


現在、機関投資家向けに発行されている物価連動国債の人気はきわめて悪い。
ま、当たり前である。将来のインフレの芽が出そうにないからね。
そもそも年金基金や生命保険会社の負債は資産よりも平均残存期間が短いから、金利上昇してくれた方が嬉しいので、
金利上昇懸念などあんまりないし。
でもそんな物価連動国債にも使い道があると思う。個人向けにするならば。



現在の物価連動国債ベンチマークはCPI、消費者物価指数なのだ。
こいつは「消費税込み」の物の値段を調べ上げて指数として仕上げてくれている。
ということはだ。「消費税が上がるとCPIも上がる」のだ。


一方、物価連動国債は「物価が上がれば償還時の元本額が増加する」債券だ。
ということはだ。「物価連動国債を大量に買った奴は消費税が上がってくれた方がお得」なのだ。
実際には1年間の消費額を大きく上回る額を購入しないといけないのだが、少なくとも
消費税が上昇したら、その一部は後で帰ってくることになる。


これなら消費税を上げることに対する抵抗はちょっとでも減少するのではなかろうか。
ついでに国民が国債をたくさん買ってくれるのであるから、財務当局はもちょっと嬉しい。



  • デフレ脱却策として

量的緩和政策が実施されている現在、国民に対してデフレ脱却を積極的に働きかける政策を
日銀が取ることは非常に難しいのが現状だ。短期金利がゼロだからその辺りはやむを得ないところ。
そこで一部の学者さんたちは「インフレターゲティングだ」とかいうんだけど、これまた難しい。
というのも国民に「インフレ目標」をアピールすることが非常に難しいからだ。
現実に「インフレターゲティング」の先進国・英国での調査によると「インフレターゲティング」を
知っている国民は全体の2割程度だったという。日本における量的緩和政策の認知度もやっぱり高くない。


要は「動機付け」が必要なのだ。なら「インフレにしたらお得!」という状況を
国民の間に浸透させたらいいのではないか。その手段として個人向け物価連動国債は検討に値すると思う。




もちろん、物価連動国債の仕組みは、普段「国債」にも「物価」にもなじみのない一般の国民に対しては
理解が難しいと思われるので、全面導入に際しては高いハードルを越える必要があるのだが、
やってみる価値はあると思う。


・・・ま、もっとも俺にいわせれば「デフレ脱却の一番の特効薬はCPIを書き換えて数字をあげてしまうこと」
だと思っているけどね。