そろそろばらしていいだろう

つうことでイエレンさんも「量的緩和は効果ない」とぶっちゃけてしまったことでもあるし(そこまでいってないか)、
当時日銀の量的緩和がなぜうまく行かなかったのか説明しておこう。




これ、BIS基準が分かっているひとなら分かりやすいと思うんだけど、銀行の自己資本比率の考え方って
独特で、分母となる資産については、保有するアセットによって掛目を掛けてやる必要があるんですよね。
例えばある企業に貸し出しすると100%の掛目を必要とするけど、格付けが高い企業に貸すと50%の掛目でいいとか。
これを逆に考えると、貸出先をどこにするかによって必要とする資本金の量が違うということなんです。


さて銀行は量的緩和によって日銀から必要以上のお金を借りさせられることになります。
ただ今回借りてきたお金はゼロ金利なので借り入れコスト悪化を気にすることはありません。
一方、借りてきたお金に見合う資産を積み上げなければB/Sはバランスしませんので、
資産を積み上げる必要があります。
でも資本金の量は一定なので企業への貸し付けを簡単に増やすことは出来ません。
一方、日銀当座預金国債はリスクアセット0%、資本金を喰いません。
そうするとどうなるか。例えば日銀から100億借りてきて、そのまま日銀当座預金に入れておくと
同じところからの貸し借りなので、実質的にはB/Sからキャンセルアウトしてしまうことができますよね。
BIS基準でも日銀への貸し付けはリスクアセット0%なので問題なし。
そうすると日銀との間でお金がぐるぐる回るだけで実際の銀行経営に影響はないことになります。
(似たようなことはイエレンも言っていたけど、ここで大事なのは量的緩和しても
 銀行の貸し出しポートフォリオに影響を与えないということが明示的に示されたということ)


それどころか、実際には日銀から買いオペで借りて、売りオペで貸すとかFBで運用すりゃいいのですが、
その場合にわずかですが銀行は利益を得ることが出来ます。
例えば0.001%で買いオペして0.002%で売りオペに応札すりゃいいのです。
成立しなかったらオペに参加しなかったらいい。札割れになって困るのは日銀です。
するとどうでしょう。0.001%とわずかですが儲かります。でも、資金供給量は銀行が求めれば
担保の範囲内ならいくらでも出てきます。それをそのまま売りオペにぶつければやっぱり儲かります。
担保だってFBにすれば売りオペの代わりになるので増やすことが出来ます。
結果、どんどん供給を増やしてもらうことだって出来ます。
利回りは0.001%だけどウエイトは何兆円も出来るのならそれなりに儲かるしね。(しかもリスクフリー)
けれどそこから外に出す必要はないわな(笑




本来、金利政策は金利水準を操作することによって貸し手のポートフォリオ
働きかけることに焦点がありますが、量的緩和では銀行のポートフォリオに働きかけるのは困難になるのです。
いやまあ、「他の経済主体に対しては働きかけられるだろ」って突っ込みは入りそうですが
「それって単なるゼロ金利とどう違うの?」って返されると痛いですし、
イールドカーブ全体に影響が・・・」というのは「時間軸効果」ですからそれはまた別の話、
ということになります。




・・・まあ、そんなことは当時からみんな分かってたんですよ、短期の現場の人間は。
今話題の「定額給付金」ですら0.2%GDPが上がるってのに、25bpの利下げじゃ年間0.1%しかGDPは上がらない。
そんなことのためにリストラされる短期市場関係者のことを考えたら、11月末に白川さんが
短期市場関係者の前でリップサービスしてやるのも分からんでもないでしょ、ってことなんですよ。
#短期市場関係者ならリストラされてもいいけど、自動車会社の派遣労働者はリストラされたら問題だ、というのは
#別の視点から興味深い話だが、それはまた別の話(汗)